マキタの7.2V充電式ペンインパクトドライバ『TD023D』を紹介します。2026年2月に発売された、2016年発売のTD022D以来、約10年ぶりに新しくなったペン型のインパクトドライバです。
TD023Dは、マキタの7.2Vの電池BL0715を使うペンインパクトの最新機で、TD022Dと同じトルク・回転数のまま、ビットの付け外しを楽にした後継機という立ち位置です。
筆者は電池2個・充電器付きのTD023DSHX(青)を買い、手持ちのTD022D(オリーブ)と並べて、ビットの付け外しを比べたり、同じねじを締め比べたりしてみました。同じ時期に出たHiKOKIの3.6VペンインパクトWH3DAとも比べながら紹介します。

TD023Dのスペック(旧型TD022Dとの比較)
| 項目 | マキタ TD022D (旧型) ![]() |
マキタ TD023D ![]() |
|---|---|---|
| 電源 | 7.2V | 7.2V |
| 最大締付けトルク | 25N・m | 25N・m |
| 回転数 | 0〜2,450min⁻¹ | 0〜2,450min⁻¹ |
| 打撃数 | 0〜3,000min⁻¹ | 0〜3,000min⁻¹ |
| 締付け能力 (小ねじ/コーススレッド) | M3〜M8 22〜45mm | M3〜M8 22〜45mm |
| 質量(電池込み) | 0.55kg | 0.57kg |
| 全長 (折り曲げ/ストレート) | 227/282mm | 229/285mm |
| ビットの付け方 | スリーブを引いて差し込む | 押し込むだけ (ワンタッチ) |
| スリーブの形 | ストレート | テーパー |
| セットのケース | アルミ | プラスチック |
| 1充電の作業量 (木ねじφ4.1×45mm) | 約65本 | 約65本 |
| 本体のみの価格 | 13,100円 | 15,200円 |
| 品番(色) | 中身 | 標準小売価格 (税別) |
|---|---|---|
| TD023DZ(青) TD023DZB(黒) TD023DZO(オリーブ) | 本体のみ (電池・充電器別売) | 15,200円 |
| TD023DSHX(青) TD023DSHXB(黒) TD023DSHXO(オリーブ) | BL0715(1.5Ah)×2 充電器DC07SB ケース | 27,700円 |
| TD023DHXAR (オーセンティックレッド) TD023DHXAP (オーセンティックパープル) | 同上(限定色) | 27,700円 |
価格はマキタの標準小売価格(税別・2026年10月時点)で、販売店での実際の価格とは異なります。TD022Dの電池2個・充電器付きのTD022DSHXは25,000円で、セットどうしではTD023Dが2,700円高くなりました。

TD023Dはどんな製品?
メリット
- ビットはスリーブを引かずに押し込むだけで付けられ、片手で替えられる
- スリーブがテーパー形状で太くなり、手袋をしたままでもつかみやすい
- 正転・逆転のスイッチが左右の側面にあり、右手でも左手でも切り替えずに使える
- 電池BL0715・充電器DC07SBはTD022Dと同じで、手持ちの電池がそのまま使える
デメリット
- トルク・回転数・打撃数はTD022Dと同じで、締める力は変わっていない
- ねじをゆっくり一定の速さで締めるスローモードは付いていない
- セットのケースは、TD022Dのアルミからプラスチックに変わった
TD023Dの3つの特徴
- ビットを押し込むだけで付けられる
- 手袋をしたままでもつかみやすいテーパー形状のスリーブ
- ピストル型とストレート型を切り替えられ、左右の側面のスイッチで正逆を操作できる
ビットを押し込むだけで付けられる

TD023Dの一番の変更点が、ビットの付け方です。スリーブを引かずに、ビットを差し込み口に押し込むだけで「カチッ」と固定されます。TD022Dはスリーブを引きながらビットを差し込む2つの動作が要ったので、ビットを持つ手と本体を持つ手の両方がふさがっていました。
プラスとマイナス、長さの違うビットを替えながら作業する電気工事や設備の現場では、ビットを替える回数が多いぶん、この1動作の差が積み重なります。
手袋をしたままでもつかみやすいテーパー形状のスリーブ

ビットを外すときに引くスリーブは、TD022Dの短いストレート形状から、先に向かって太くなるテーパー形状に変わりました。手袋をした状態で2台のスリーブをつかみ比べると、TD023Dのほうが指がかかりやすく、差は思った以上に大きく感じました。
ビットを付けるときは押し込むだけ、外すときはつかみやすいスリーブを引くだけになったので、手袋をしたままビットを替えることが多い現場ほど、TD022Dとの違いが分かりやすい変更です。
ピストル型とストレート型を切り替えられ、左右の側面のスイッチで正逆を操作できる

ヘッドを折り曲げるとピストル型(全長229mm)、まっすぐにするとストレート型(285mm)になります。折り曲げた状態のロックはTD022Dと同じくらいしっかりしていて、作業中に不意に曲がることはありませんでした。ストレート型にすれば、手回しのドライバーとして追い締めにも使えます。

スイッチは本体の左右の側面にあり、右側を押すと正転、左側を押すと逆転します。右手でも左手でも、持ち替えたまま締める・緩めるを切り替えられます。左右両側面のスイッチはTD022Dから引き継いだ仕組みで、グリップは新しいデザインになりました。
TD022Dと締め比べた結果
DIYでよく使う木材のSPF材に、φ3.5×20mm・φ3.8×45mm・φ4.2×65mmの3種類のねじを、TD023DとTD022Dで締め比べました。φ4.2×65mmは、公式の締付け能力(コーススレッド22〜45mm)を超える長さです。

締め込みの速さ、打撃のリズム、締め終わりの感触、音の大きさのどれも、TD022Dとの差は感じられませんでした。トルク・回転数・打撃数が同じなので、締める作業そのものはTD022Dと同じ感覚で使えます。
TD022Dを使い慣れている人が買い替えても、締め方を覚え直す必要はありません。一方で、締める力や速さを上げたくて買い替える場合は、TD022Dからの変化はありません。
TD023Dを選ぶときに確認したい3つのポイント
スローモードは付いていない
TD023Dの回転は、スイッチの押し込み具合で変える無段変速です。ねじを決まった遅い速さで締めるスローモードは無いので、小さなねじを仮止めするときや、ねじ頭をなめやすい材料では、スイッチを浅く押して速さを加減します。スイッチの加減に慣れている場合は、この条件を気にする必要はありません。
セットのケースはプラスチック製

電池・充電器付きのセットに付くケースは、TD022DSHXのアルミケースではなく、プラスチックケースです。電池と充電器が入り、アクセサリを入れる小物入れも付いています。筆者はTD022Dのアルミケースのほうが好みでしたが、ケースを使わず工具袋に入れて持ち歩く場合は、気にしなくてよい違いです。
限定色はセットだけ、本体のみは3色
オーセンティックレッドとオーセンティックパープルは限定色で、電池2個・充電器付きのセット(27,700円)しかありません。本体のみ(15,200円)は青・黒・オリーブの3色です。
TD022Dの電池BL0715と充電器DC07SBはTD023Dでもそのまま使えるので、TD022Dから買い替える場合は、本体のみを選ぶと電池と充電器のぶんを買わずに済みます。限定色が欲しい場合はセットを選ぶことになり、電池と充電器がもう1組増えます。
他のペンインパクトと比較
WH3DA(HiKOKI 3.6V):スローモードを使いたい場合
| 項目 | HiKOKI WH3DA ![]() |
マキタ TD023D ![]() |
|---|---|---|
| 電源(付属の電池) | 3.6V (5.0Ah) | 7.2V (1.5Ah) |
| 最大締付けトルク | 25N・m | 25N・m |
| 回転数 | 0〜2,700min⁻¹ | 0〜2,450min⁻¹ |
| 打撃数 | 0〜3,000min⁻¹ | 0〜3,000min⁻¹ |
| スローモード | 3段階 (600/1,000/1,300min⁻¹) | なし |
| 正逆の操作 | ジョイスティック (左側面) | 左右両側面の スイッチ |
| LEDライト | 2灯 | 1灯 |
| 質量(電池込み) | 0.58kg | 0.57kg |
| 全長 (ピストル/ストレート) | 233/306mm | 229/285mm |
| 本体のみの価格 | 13,400円 | 15,200円 |
| 電池2個・充電器付きの価格 | 25,000円 | 27,700円 |
WH3DAは、2026年2月に発売されたHiKOKIの3.6Vのペンインパクトです。最大締付けトルクは同じ25N・mで、ねじをゆっくり一定の速さで締める3段階のスローモードが付いています。正逆とスローモードの切替は左側面のジョイスティック1つで操作し、ビットを押し込むだけで付けられるのはTD023Dと同じです。
付属の電池は3.6V・5.0Ahで、TD023DのBL0715(7.2V・1.5Ah)より容量が大きく、1充電の作業量はM5の機械ねじで約2,400本です。価格は本体のみ・セットどうしとも、WH3DAのほうが1,800〜2,700円安い設定です。一方で、ジョイスティックが左側面にしかないため、左手で持ったときは人差し指で操作することになります。
スローモードと容量の大きい電池を持つのがWH3DA、マキタ7.2Vの電池が使えて左右どちらの手でも同じように正逆を操作できるのがTD023Dです。
電動工具なびの見解

TD023Dは、小ねじを締める作業でビットをよく替える場合や、これからマキタのペンインパクトを買う場合に候補になります。
一番の特徴は、ビットを押し込むだけで付けられ、テーパー形状のスリーブで外しやすくなったことで、手袋をしたまま作業する現場ほど違いが出ます。注意したいのは、締める力と速さがTD022Dと同じで、スローモードも無いことです。
TD022Dを持っていて、ビットの付け外しに不満が無い場合は、買い替えても締める作業は変わりません。ねじをゆっくり締めたい作業が多い場合は、WH3DAと比べて、スローモードの有無と電池の違いで選んでください。





